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山陽新聞『一日一題』3月9日

『神社はもうかる?』

 

 昨年の12月7日、日本中を震撼させる殺人事件が富岡八幡宮で起きました。この事件をきっかけとして、あまり知られていなかった神社の仕組みや神主の生活などにスポットが当たるようになりました。そのことはありがたいのですが、神社がもうかると思われるようなイメージを持たれたことには困りました。

 富岡八幡宮は東京の中心地にあり、参拝者も多く、不動産収入等もあり、年間数億円の収益があるそうです。また、宗教法人のため税金も優遇されています。それだけ聞けばやっぱりもうかるのではと思うかもしれません。

 しかし、冷静に考えてみてください。皆さんの近所にある神社がそんなに収入があると思いますか? 富岡八幡宮のような話を聞けばすぐに課税しろというような話になってしまいますが、実際、全国にあるほとんどの神社が、資金難のために社の修理をすることもできません。また奉仕する神主も到底生活できる状態ではありません。そのため、9割以上の神主は別に仕事を持った兼業です。これではどうしても神社に費やす時間が短くなり、良い奉仕ができません。そして良い奉仕ができなくなるとお参りに来られる方も減り、さらに収入が減ってしまいます。まさに悪循環です。

 神主だけでは生活が成り立たないために志す人も減ってきています。全国の約8万8千社ある神社に対して神主の数は約4万人で、神社の方が倍以上多い計算になります。そのために、神主1人で10社も20社も掛け持ちをしている状態です。ですから、いつお参りしても誰もいない神社がたくさんあります。現実的には難しいでしょうが、やはり理想は1社に1宮司でしょう。

 一人でも多くの方に神社の大切さをご理解いただき、世界に誇れる日本の伝統文化の継承に力をお貸しいただきたいと思います。 

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