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山陽新聞『一日一題』3月23日

『神社が無くなる?』

 

「全国にあるほとんどの神社が、50年から100年のうちに無くなってしまう」

 そう訴えられているのは、国学院大学の石井研士先生です。また、私の奉仕している備前国総社宮の再建時、設計図を監修していただいた広島大学の三浦正幸先生も同じようなことをおっしゃっています。この話は私にとって、大変ショックでした。神社はあって当たり前で、無くなってしまうなんて考えたこともなかった方がほとんどかもしれません。もしかしたら、神社がなくなって何が悪いのかと思われている方もいるかもしれません。

 神社は千年以上前から先人が守ってきました。その過程で天災に見舞われたこともあったでしょうし、近隣で戦が起きたこともあったでしょうが、心のよりどころ、また生活の習慣として根付いていたからです。昔は国民の8割以上が農家でした。神社の祭事は農業と密接な関係があるので、特に大切にする必要があったのでしょう。そして、地域の方々が、寄付をしたり、奉仕したりして守られてきたのです。

 「神社は、遺した方がいいか、無くなった方がいいか」と聞かれたら、皆さんどちらを選びますか? 極端な質問ですが、「無くなった方がいい」と答えられる方は少ないと思います。それは、誰に教わった訳でもなく、ぼんやりかもしれませんが、私たちの心の中で神社は大切な場所と感じているからではないでしょうか。私ももちろん、遺していかなければならないと思っています。しかしなぜ遺さなければならないのか、いくら考えてもまだ、明確な答えが見つかっていません。ただ、何百年、何千年も前から時代がいくら変わっても遺されてきたのには必ず何か意味があると思います。私は先人にならって、次の時代にしっかり襷を渡してまいります。 

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